先輩が卒業して、もう半年が過ぎようとしている。
「今頃何してるかなぁ」
俺は溜め息をしながら写真たてを見た。
初めてのデートで行ったディズニーランド
昼間たくさん遊んだ俺達は、夜パレードも終わり、そろそろ帰るかと言おうとした俺に、「最後にとっておきの場所に連れて行きたいんだけど、いいかな?」と、質問してきて、断るはずもない俺は素直に先輩についていった。
少しでも長く一緒にいたいと思いながらも、どこに連れて行ってくれるんだろうと期待に胸を弾ませながら俺たちがたどり着いた先は・・・
「・・・・・・」
何とシンデレラ城だった。
恐らくこの敷地内で一番目立つ建物を前に俺は唖然とした。
「とっておきの場所って・・・」
「そう、このシンデレラ城だよ」
笑って言う先輩についていけなかった。
ここは昼間、俺達が何度も来た場所でその度に見知らぬ人に頼んでカメラを撮ってもらった。しかも、その時のポーズというのが腰に手を回したり、その・・お姫様抱っこをしたりして二人の記念撮影をした。
まあ、ここまできたら今さら恥ずかしいなんて思わなくなった。
でも、なんでまた・・・
「先輩、そろそろ閉館時間なんスけど・・・」
日はとっくに落ち、人も段々減ってきている。
そんなことを全く気にしている様子はなく、手をひっぱられた。
「いいから、ついてきて。もう少しだから。」
まだ動くエレベータ―に乗り込むと、先輩は最上階のボタンを押した。
目的地に辿り着いた俺達はそのままひたすら歩いた。
(どこへ行くんだろう?)
すると、目の前にふと扉が現れた。
「先輩?」
「開けてみて」
肩をポンと押され一度振り返ってみると、微笑む先輩と目が合った。
どきどきしながらその扉を開くと、そこにはとても綺麗な夜景が広がっていた。
「綺麗・・・」
無意識のうちに俺は呟いていた。
「だろ?どうしてもこの夜景を海堂と見たかったんだ。気に入ってもらえてうれしいよ」
そう言うと先輩は嬉しそうに笑った。
下から見るのとはまた違う、上から見下ろした夜景は格別だった。
暫く夜景に見とれていると突然、後ろから抱きしめられた。
「・・・!何っ、急にっ!」
「嫌だ、こんなところで・・・」
抵抗しようとしたと同時に、俺は先輩の正面になるように体を向きなおされ、口を封じられた。
「嫌だって・・・んっ・・・」
「ごめんね、我慢してたんだけど耐えられそうにない・・」
口内を執拗に弄る先輩の舌が、俺の唾液と絡みあう。
たったそれだけのことで俺は腰砕けになりそうだった。
「ごめんね。本当はもっとゆっくり、君が慣れてからと思ったんだけど、君があんまり可愛いから・・・・・・止まらないよ」
まるで俺のせいとでも聞こえる言い方も、今の俺には全く聞こえていなかった。ただ、目の前の快楽を追うので精一杯だった。
冷たい床に倒された俺だったが、それはすぐに俺の熱によって温められた。
「あ・・・、先輩・・・。だ・・め・・・。そんなとこ・・汚い・・」
先輩は俺のズボンを下着ごと下ろした後、再びそこを扱き始めた。
「ひゃ・・ん・・・。んんっ・・・はぁ・・・」
感じる俺を見て満足したのか、次は上着を捲り上げ胸の突起を舌先で転がし始めた。その後、上と下を同時に攻められた。
二度ほど果てた頃俺を待っていたものは・・
「そろそろいいかな」
先輩は自分のズボンから自らのものを出してきた。
(す・・すごい・・・)
それが率直な感想だった。
自分のものとは比べ物にならない大きさ。
(これが俺の中に入るのか・・?)
絶対に無理だと思った。
しかし怯える俺に、
「最初はちょっときついかもしれないけど、ちゃんと慣らすから・・そんな顔をしないで」
そう囁かれ、俺は顔を真っ赤に染めて視線を逸らした。
(何で俺の考えていることが分かるんだよ)
悪態をつきながらも、自分を心配してくれる先輩が嬉しかった。
「痛っ・・、痛い・・って」
後ろを先輩の指が動き回る。
一応、準備しておいてくれたローションを使ったおかげで、それほどは痛くないけど妙な違和感が俺を襲った。
「もう、いいかな?」
程よく解れてきた頃、すっかり顔が火照った先輩が尋ねてきた。
「・・・・」
小さく頷く。
「いくよ・・」
次の瞬間、目の前に火花が爆発したような気がした。
後ろを先輩が貫く。
「痛っ・・・、止めて・・下さ・・」
「もう少しだから我慢できないか?ほら、少し、もう・・」
「痛い・・お願い・・・」
有無を言わさず俺の中に入ってくる。
「入ったよ」
「?」
「全部入ったよ」
照れた顔で言う先輩が一瞬可愛いと思った。
怖かったけど、少しだけ恐る恐る覗いてみた。
やっと一つになれた・・・。
今までの痛みを忘れ、思った。
すると、急に涙があふれてきた。
無性にキスがしたくなった。先輩に抱きつき、自分からする。
「海堂?」
「好きです。先輩が好きです・・」
まるで、初めての告白のように一生懸命に伝える。
「俺も好きだよ。世界で一番君が好きだ」
同じように返してくれる。
(この人を好きでよかった)」
心からそう思える。
その後、俺たちは一つになったまま果てた。
気がつくと朝になっていた。
シンデレラ城で一夜を過ごしてしまったのである。それも、恥ずかしながらそれが俺たちにとっての初夜だった。
夜が明け、係員の人に見つかってたくさん怒られたが、俺達は幸せだった。
きっとあの日のことは一生忘れないだろう。
本当にあの頃は幸せだった。
この幸せが続くと思ってた。
「別れよう。それがお互いのためなんだ」
三学期も始まり、そろそろ卒業式の練習が始まる頃に告げられた言葉。
「!?何で・・!」
先輩に詰め寄った。
別れる?冗談じゃない。昨日まで一緒に帰ったり、寄り道して公園で学校での愚痴を聞いてもらったりして、今日だって一緒に登校したばかりなのに。
俺にはその言葉が信じられなかった。
「冗談でしょう?何で、そんな急に・・」
「受験生なんだ。エスカレーター式といっても勉強をしないと」
「暫く会わないって事ですか?」
段々体が震えてくる。
「嫌、別れたいんだ」
それだけ言うと先輩は俺と目も合わさずに、その場から去って行った。
何で?
俺何か先輩の気に触ることしましたか?
俺はその場に崩れ落ちた。
その後、どうやって教室に戻ったのか、放課後、家に帰ったのか覚えてはいない。
あれから約半年、先輩は卒業して行き俺は部の副部長となって毎日を忙しく過ごしている。いや、そうすることで先輩のことを忘れようとしているのかもしれない。
「はぁ、俺も未練がましいよな。いつまでこんな写真立ててんだよ」
そう思い写真立てに手を伸ばした時・・・
「っ!!」
ほんの半年前まで毎日のように聞いていた、一人だけ別の着信音が部屋中に響いた。
And they swore eternal love.
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